美しくボケた背景に浮かび上がる花の写真を見て、『こんな写真いいな』『私も一眼レフを使ってみたい』とか思って、思い切ってデジタルカメラの一眼レフを買ってしまった人・・・そんな人に、自分の経験を聞いてほしいと思って私的写真術を書きました。
写した写真には正解も間違いもありません。撮りたいものと、結果としての写真があるだけです。ただし、写真を撮るに際してより効果的に撮る方法・技術は存在します。『絞り値とシャッター速度』が写真の基本条件です。すぐに使える技を分かりやすくお話したいと思います。まず最初は、魅力的な背景のボカシ味から行きましょう。
ボカシ味を楽しむ
背景をボカシて、その中にくっきりと被写体を浮かび上がらせた写真を見て『こんなの撮りたい!』と誰しも思うものですね。被写体を浮かび上がらせたい=背景と区別したいという思いから、背景のボケという考えが出てきます。この一眼レフのボカシ味はニコンやキャノンというメーカーの違いを超えてデジタル時代になる前から人々を魅了してきました。
カメラのレンズのピントが合う範囲は限られていますから、撮りたい被写体を近くに置いて、背景を離せば背景はボケることになります。ところが、そう簡単に被写体だけを動かすことも背景を離れさせることもしにくいことのほうが多いものです。どうすれば、自然なボケ味の写真が撮れるでしょうか?さあ、やってみましょう。
ボカし方実際の手順
こんな時、被写体にだけピントが合うようにできたらいいわけです。次の手順で行きましょう。背景や手前をボカすということは、被写体(写したいねらい)だけをはっきりと写したいのだということを、お忘れなく。
- デジタルカメラのモードは(MASP)の中のA(オート)にセットします。(MASP)はニコンのカメラで使われている記号です。
- レンズの絞り値をメインコマンドダイヤルで出来るだけ小さい値にします(小さすぎるとシャッター速度が限界突破することがあるので、4.5や5.6でも可)
- 狙いの被写体にしっかりピントを合わせます
- ぶれないように、カメラをしっかりホールドして(できれば三脚を立てます)シャッターボタンを押す
ここでは重要な言葉『絞り値』の説明です。『絞り値』は使っているレンズの焦点距離をレンズの直径で割った値で、値が小さいほど「明るいレンズ」になります。また、値が小さいほどピントの合う範囲が狭くなります。ということで、値が小さいほどピントを合わせた被写体以外はボケることになります。
簡単に説明しましたが、色々疑問点の出て来ることもあると思います。一度に全部は語れません、順を追って解決していきましょう。いくつか考えられる問題点を書いておきます。
- カメラの感度設定はどうするの?
- ホワイトバランスはどうするの?
これらも使いこなすべきですが、今のところはどちらもオートの設定にしておきましょう。
作例をご覧ください
作例は5月の風の中のチョウ(ツマグロヒョウモン)です。被写体に寄るために40mmマクロレンズを使っています。背景は、木立に囲まれた公園の中の芝生で、被写体のチョウに手が届くくらいに接近しています。被写体を背景から浮かすことには十分成功したといえますね。40mmというちょっとワイド系のレンズのため背景もボケ味を出しながら雰囲気が伝わっています。
気をつけたことは、チョウの目にピントが来るようにしたことです。人を始めとして動物を撮る時は目にピントがないと締まりません。
今回のまとめ
- デジタルカメラの一眼レフを使って写真を撮る(コンパクトデジカメも使えます)
- ボケ味のある写真を楽しむ
- まずは、A(オート)で撮りましょう
- 被写体に接近して背景をボカします
- 絞り値は出来るだけ小さくします
- ぶれないように、カメラをしっかりホールドします(できれば三脚を使用)
はじめは、Aモードで背景をボカした写真ばかり撮りましょう。しばらくこれを続けていると、撮り方がちょっと変わったときに違いがよくわかります。それと、始めの頃はズームレンズを使わないで50mmとか35mmの単焦点レンズを使うのが慣れていく近道のように思えます。ズームレンズの時は、レンズの焦点距離のどちらかの端を使えば同じことになります。