教室の座席表にいつまでも頼って生徒の顔と名前を覚えないのも困ったことですが、いいことにつけ、悪いことにつけ、生徒を名で呼ぶことは生徒個人を一人の人間として認めることにつながり重要なことです。座席表は学校の教室の必需品。
教卓の上にあって、あまり大きすぎても困りますが、座席表はやっぱり、見やすいことが命です。その座席表のエクセルなどによる作り方のポイントと、関連して生徒が心から楽しみにしている「席替え」について考えてみましょう。
新学期の教室で
初めて新学期に行く学校の教室。初めて出会う40人の生徒。これから一年間静かなクラスで行くのか騒がしいクラスになるのかと全体の空気を読もうとする。生徒の方も「どんな先生かな?」と期待や不安の混じった目で注視している。
新学期がスタートして暫くの間、これが高校一年なら当然のように静かな教室のはず。たまに、この静かな空間で大きな声でお喋りする生徒がいる。ギョッとしながら、素早く座席表でその声の主の名前を確認して「これは、大物かしら?」と考える。こんな風に座席表は使われるのですが、学級担任の先生の作り方一つで見やすかったり、そうでなかったりします。
座席表は教室の中の座席指定のためのものです。新年度が始まってひと月ほどは、出席番号の順番に座席指定することが多いですから、およその見当はつくのですが、生徒の名前を確認するのになくては困ります。
見やすい座席表は学級担任の愛の現れ
座席表に限らず、教室の中の管理状態は学級担任の先生の生徒への思いが現れます。教室の清掃状況一つを見ても「教室はこのようにきれいに整えております、どうぞよろしく授業をお願いします。」というメッセージのになります。ゴミが落ちている教室・黒板が美しく拭けていない教室・机の並び方が雑然としている教室などは、授業をやる気に悪い影響を与えます。
更に言うと、ゴミの落ちている教室は、ゴミが落ちていることを許される教室ということで、綺麗になるどころか汚れる方向へ進んでいく可能性が大きいということなのです。
授業が終われば、一般的にはクラスのその日の当番(日直と呼ぶ)が黒板を黒板拭きで消して次の授業に備えます。これが毎日いい加減に消されていると、こんなもんでいいのだという気分が教室に漂い、低いレベルのスタンダードを形成してしまいます。これもよくありません。
座席表は見やすいことが一番
座席表に必要なことはただ一つ「見やすい」ということだけです。教卓の上にあって小さすぎず大きすぎずの大きさで文字はくっきりとして、できることなら振りがなを付けてほしいものです。おそらく座席表はエクセルで作ることが多いと思いますが、エクセルなら簡単に振りがなを付けることができますし、ちょっと気を使って「木の下」場合は「の」のポイントを小さくすれば収まりが良くなります。
さらに、同姓の場合の区別はできないと困りますので、名前の一文字をひらがなで加えたりする工夫も必要です。
- ふりがなの付け方
- 範囲選択⇒フォント⇒亜 をクリック
- 「木の下」の「の」を小さくする
- 範囲選択⇒フォント⇒ポイントを小さくする
従来は、男女の区別を色分けで明確にしたりしていましたが、昨今は、性的マイノリティーへの配慮のため行われないようになってきました。これに関連して、生徒を呼ぶ際に、呼び捨ては論外ですが、もはや「くん・さん」付けで男女を区別する呼び方も少々時代遅れの印象を持たれ始めています。
席替えをめぐって
座席表について考えるとき、避けて通れないのが教室内の座席のいわゆる「席替え」の問題です。生徒たちは狭い教室に40人がひしめき合っています。化学の授業で電子配置の話をする時、電子は出来る限り分散して存在する性質があると説明します。この時、電車に乗って席が全部空いていたら人々はどんなふうに席を選ぶかと問いかけます。そうすると、生徒の答えは間違いなく「バラバラに座る」と返ってきます。
そうですよね~、生徒たちは出来る限り教室の中で快適な場所に座りたいのですよね。生徒個々人によって快適さの受け止め方は違いますから一概には言えませんが、「席替え」で決められた席が公平に決められたものであれば少々の不満があっても甘んじてその席に座るわけです。
学級担任をした時、一番気を使ったのはこのことでした。生徒の自主性なども認めて大切にしなければなりません。だから、「席替え」作業の一部を生徒の委員に任せることもありますが、この公平に行うというところだけはきちっと守らなければ生徒からの信頼が揺らぐことになりかねません。
その他にも、視力や聴力の問題を抱えた生徒がいたら、生徒全体に図って前の席を優先するとか座席表と席替えに関して学級担任は結構気を使うのです。
今回のまとめ
- 学校で授業をするにあたり生徒の名前確認のために座席表は必須のもの
- 見やすい座席表の作り方を考えるのも学級担任の大切な仕事
- 席替えは弱者への配慮と公平さの精神で
特に前の席でしっかり勉強したいという意欲的な生徒も希望があれば前の方の席に座らせたりもします。ただし、一番後ろの席がいいというような自分勝手な希望は頭から無視です。