学校の先生、AED使える?もちろん!!非常事態に備えて講習を受けています。

最近、電車の駅とか、銀行とか至る所でハートのマークの付いた箱を見かけます。ときには飲料水の自動販売機の中に入っていたりもします。そうですね、AED (Automated External Defibrillator自動体外式除細動器)という機械です。学校の中にも、保健室前の廊下などに設置されています。

この機械は心停止を起こした人に電気ショックを与えて心臓のリズムを取り戻す道具です。学校の中でも、生徒や先生が意識をなくしたりすることは起こりうることなのですが、その中でも特に急を要する心停止に備えてこのAEDは全国の学校に設置されその使い方の講習会も開かれています。その現状を見てみましょう。

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学校の中は安全?

学校の中はとっても安全な場所のように考えられますね?でも、人がたくさん集まるところなのでその人それぞれが持っている気質が原因で起きる事故や突発的な出来事は結構多いものです。
例えば、てんかんの既往を持った生徒がてんかんの発作を起こして倒れたりすることはたまに見られ、教員は生徒の持っているそういった既往について、会議で全体化して対応方法を学習しています。

情報は全体で共有するべし

新しく高校に入学する1年生の生徒たちの保護者は、入学に際して健康上の心配な点などを申告します。これをしてもらわなければ保護者は勿論、学校も安心して生徒たちに授業を受けさせることができません。保護者からの申告を詳しく調べ、年度初めの職員会議で全体化が必要と考えられるものを養護教諭が報告します。その中に特別な対応が必要と思われるものがあれば、その場で、または時を改めて、対処方法の研修を行います。

ある時、以前にはなかった「発達しょうがい」の生徒が複数入学したときですが、「発達しょうがい」に関して長い時間をさいて学習会をした記憶があります。初めて出会うケースの場合はしっかり理解しておかないと対応に戸惑って生徒に無用の混乱を与えたりします。

また、問題を抱えた生徒の授業担当者だけが問題の中身を理解していればよいかと言うとそうではありません。そういう生徒が授業時間中に保健室へ行くこともあるでしょう。そんなときに、廊下で出会った先生が何気なしに「なにをしている!」と大声を出したらNGです。「情報交換で聞いたあの生徒だ」と判断して「どうしたの?」と優しく聞くべきでしょう。こういう情報は学校中で共有する必要があります。

心停止も起こりうる事の一つ

私の長い教員経験の中で心臓疾患に関して忘れられない出来事があります。心臓に問題を抱えた生徒が通学途中に発作を起こし、救急搬送の対応の遅れから一命をとりとめたものの、重い後遺障害を残したというものでした。

リハビリを経てその生徒が復学する際には、教員全員が心肺蘇生法の実技研修を受けました。現実に心肺蘇生の必要かも知れない生徒が目の前にいるのですから研修は力の入ったものだったように記憶しています。

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年に二回の心肺蘇生講習会

多くの高校で、年に2回程度の教職員向け心肺蘇生講習会が開かれています。従来は、心臓マッサージと人工呼吸の組み合わせでしたが、2004年以後これにAEDの取扱いが加わりました。医師以外にもこのAEDの取扱いができるようになったからです。

従来の人工呼吸をするタイプの講習会ではマウスツーマウスを敬遠する人が多く、私自身も現実問題としてできるのかなと思っていたものです。AEDの導入後しばらくして、ガイドラインが変更され、マウスツーマウスは吐瀉物や感染症予防のためあまり強く言われなくなり、その代わり、心臓マッサージとAEDの速やかな使用が強調されるようになりました。
このガイドラインの変更で心肺蘇生講習は随分受けやすくなりました。

AEDの扱いはむつかしくない

ただ一つ問題点があるとすると、講習会の受講率が必ずしも100%でないということです。

AEDの使い方は、一度習っておくとスムーズにできます。けれど、AEDの機械が音声で誘導してくれると言っても初めての取扱いでは自身を持ってやれません。

学校の教員に関してはこの講習は義務化してもいいのではないかと思いますが、いやいや受ける研修も問題かなと複雑です。ただし、講習を受けたことがあるか、ないかでは大違いであることは確かです。

今回のまとめ

  • 学校の中は安全なところで、だが何が起こるかわからないと心の準備は必要
  • 生徒の抱えている身体上の問題点は全校で共通認識とする
  • 起こりうる最悪のことの一つとして心停止も考えられる
  • 高校の先生は心臓マッサージとAEDの取扱いの講習を年に二回受けている
  • 心肺蘇生講習は受けておくことが重要、万が一に備えよう

保健部の人間として心肺蘇生の講習会を企画する立場から見ると、講習を受けない人の気持ちがよくわからないわけですが、我が子が心停止で倒れたときに何もできないでは悔いを残すではありませんか。もちろん、学校内で生徒がそういう状況になったりしたら全力を尽くして救命したいと思うのが学校の教師ではないでしょうか。

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