楽しくない学校には誰しも行きたくないものです。「学校が楽しいか?」と問われて、自信を持って楽しいと答えられる高校生はどれだけいるでしょうか。友達との人間関係やクラブ活動に生きがいを見つけて高校生活は楽しいという高校生もいるでしょう。でも、高校生活の基本はいろいろな教科学習であり、学習成果を身につけて初めて高校生活は意味を持ちます。
実際に教育現場を見てきたものとして、高校生の学習内容は凄まじい量であると感じます。すべてをこなして身につけることができるのはよくできる一部の生徒たちだけではないかと感じます。多くの高校生たちは授業がわからないという悩みを持ちつつ日々過ごしているように思えてなりません。学校が楽しいかどうかは、授業がわかるかどうかに大きく関係しているといえます。
学校って楽しい所?
授業についていけないと学校は楽しい場所にはなりえません。勉強がわからないと学校は楽しくない所となり、ついには、行きたくないということにもなりかねません。
私は高校の教員として32年間働き(いろいろな事情で正式に教員になったのが28才で遅いスタートです)定年退職後も再任用という制度で5年間週に3日勤務し、それを終えて現在に至っています。
学校で生徒と一緒にいることは、人間と人間の関係ですからしんどいこともありますが自分としては適職であったと感じています。学校以外の一般社会から見たら役職でない平の教員を連綿とやってきたわけですが、人生の殆どを高校生と関わりながら生きたことに悔いはないと感じています。
高校生になると環境が複雑!
「学校って楽しい所?」という質問は小学校低学年にしたのと高校生にしたのとでは答えがかなり違うと考えられる。小学生の場合それなりの悩みもあるだろうけどまだ単純で「学校は行くべき所」が原則として貫かれている場合が大部分。それに対して、高校生になると人間関係はややこしくなるし、好きな異性が気になったりもする。場合によっては義務教育ではないので行かなくてもいいという判断も有効であったりする。
それに、毎日およそ6時間の授業があって新しい学習内容が怒涛のごとく押し寄せてきて、ちょっとよそ見をすると理解不能になって取り残された気分になってしまう。どの教科も一定の理解の上に次の内容をどんどん重ねていくから、分からないことをそのままにすると教室に座っていても言葉の通じない外国にいるような状態になってしまう。
その結果、襲ってくる眠気に誘われて熟睡したりすることになる。そして、更にわからなくなる。または、近くに座っている似た者同士でお喋りをすることになる。この傾向は、学習習慣がきちんとできていないほど強く起こりやすい。したがって、勉強が苦手という高校生は悪循環のスパイラルに落ち込んで定期考査になだれ込み不合格点を山ほどもらうということになってしまう。
授業がわかると学校は楽しい
これで、学校は楽しいか?と聞かれても、すんなり楽しいとは答えられない。学校を楽しく感じるためには授業の内容がわからなければなりません。ちなみに、学習内容がよくわかっている高校生は別にそれゆえに学校が楽しいとは思いません。それが当たり前のことだからです。
勉強がよく分からないで今までやって来た高校生が、ある日何かの拍子に授業がよくわかったとき、心から学校って楽しいと思えるのです。そのような体験はしたことがないのですから感動ものです。
そんな生徒が授業の終わったあと、教卓にやってきて「先生、今日の授業わかったわ。嬉しい」と言う時のその目は輝いています。この一言を言わせるために今日は授業をしたんだ。とこちらも喜びを感じます。
どうすれば、分かる授業はできるのでしょうか、また、どうすれば生徒は授業を聞いてくれるのでしょうか。その答は我々教師が、考え模索して、見つけ出すしかありません。
今回のまとめ
- 楽しくない学校には誰しも行きたくない
- 学校は楽しい所?という質問を投げかける
- 学習習慣の確立の有無で答えは別れる
- 勉強の良くわからなかった生徒が学習内容を理解できたとき喜びは大きい
勉強のできる子どもと言うのは勉強の習慣ができているのでわからなければわかるように努力するだけで進んでいけます。わからないままに来た子どもたちにとって勉強がわかったときの喜びは大きいものなんです。その喜びを一人でも多くの子どもに体験してほしいものです。