高校ではいろいろな行事が年間を通じて設定されています。授業から離れて外に出かける修学旅行や遠足はその中でも心躍るものでしょう。行き先も気になるものですが非日常の世界に時を過ごすことで生徒も教員も新しい世界を見るチャンスに出会うことができます。
日頃教室で見ることのできない生徒の姿を発見したりして嬉しくなったりすることが遠足や球技大会などで起こります。
学校では定期考査が年間行事の柱
学校では日常の学習プログラムをこなすことが主な生活の流れです。それゆえに、読んで名の如くの教務部という分掌(馴染みのない言葉ですが学校では学校運営上分担した専門部をこう呼びます)があります。
業務の内容や量から言っても教務部は人数的にも一番大きい分掌であることが多いのです。その次に生活指導部、進路指導部が大きい分掌でしょうか。他には保健部や生徒会部があってそれぞれの専門分野の仕事にあたります。
学校生活の流れを見るとき、適当な区切りに定期考査が設定されていてそれに向かって学習を進めていくことで、ある種のメリハリをつける事ができています。
定期考査の日程は学校行事の中でまず決めなければいけないものなので、年間行事を決める際に行事の枠の中に優先して設定します。その後に、遠足、運動会、球技大会、合唱コンクールなどの行事を学校全体でするものを優先して日程調整していきます。
行事の中で生徒のいいところを発見
さて、高校生の学校生活はその本文たる勉強だけではないはずです。学校生活の中で得られる友人関係や先生との人間関係なども生涯を通じて宝物のように思えることもあるでしょう。人によっては、運動が苦手で運動会や球技大会は苦痛だと思うこともあるし、歌うことが苦手で合唱コンクールなんか出たくないと思うこともあるでしょう。
しかし、教室という日常から離れてクラスの仲間と普段とは違うことをする時、きっと教室の中とは違った景色が見えるはずです。今まで知らなかった友達のいいところを発見したりすることによってクラスの中の人間関係は深まっていきます。
遠足は楽しいだけじゃない
遠足に出かける前の日、生徒たちは互いに相談することでしょう。「明日何を着て行く?」そういうことだけでも非日常を感じてテンションは上がります。BBQがメニューだったら持ち物の分担もしなければなりません。行き先も大事だけれどみんなで何か一つのことをするということは楽しいことです。
何かを期待して遠足に参加してもあまり意味はなさそうですが、行ってみればきっとクラスの仲間たちの教室では見せない姿が見えるはずです。
- 普段おとなしい男子生徒が輪になってゲームをしたらリーダーシップを発揮した
- 普段頼りない男子生徒が炭火の火おこしに抜群の技量を見せた
- 普段雑な感じの男子が意外に丁寧に片付けをして驚いた
などなど、日常の教室では見ることのできないクラスメートの意外な面を発見することができるものです。
教育実習ですごい体験
農業高校で教育実習を受けたときのことですが、裏山の下草刈りという行事がありました。巨大な草の塊が歩いているのです。一辺が2メートルほどある刈り草の立方体でした。よく見ると教室では存在感を感じない一人の男子生徒がそれを背負って運んでいるのでした。
当たり前のように巨大な刈り草の塊を運ぶ彼の姿にすごいものを見てしまったと感じて立ちすくみました。教室の中で見る一面だけで人間は決められないなと心に刻んだものでした。この男子生徒の姿は教員人生を通じて生徒と接するときに常に思い出される強烈な印象でした。
学級担任をした時のことです。クラス対抗でサッカーの試合をした時、留年生の男子が実に鮮やかなボールさばきを見せてクラスに多くの勝利をもたらしました。教室でも一人でいることの多かった彼がその後みんなに認められて教室の中に確固たる居場所を確保し進級・卒業していきました。
いろいろな行事を通じて、生徒たちの知らない面を発見できることは、我々教員にとっても大変意味のあることです。
今回のまとめ
- 高校ではいろいろな行事が年間を通じて設定されています
- 遠足も楽しい行事、行き先も大事だけれど行くことに意味があります
- 行事という非日常の中でクラスメートの別の顔を新発見
- 教育実習で感動的な場面に出会いました
いろいろな行事を節目にしてクラスのまとまりがより確かなものになっていきます。高校時代の人間関係が一生ものと言われる所以でしょうか。